建築物を支えるのは基礎であるが、その基礎を支える地盤が建築物に荷重に耐えきれないと、建築物は沈下してしまうことから、地盤の強度や土質を事前に調査する必要がある。
N値とは、地盤の強度を表す指標のひとつであり、標準貫入試験によって求める。
その試験方法は、地盤工学会の「地盤調査法」や日本工業規格(JIS A 1219)で細かく規定されている。
標準貫入試験は、635kgのおもりを75cmの高さから自由落下させて鋼製棒(サンプラー)を打ち込む方法の試験で、その鋼製棒を土中に30cm打ち込む(貫入させる)のに要する打撃回数を測定する。
落下打撃回数の値がN値で、その数値が大きいほど固い地盤ということになる。
また、標準貫入試験では、N値を測定した深さにおける土の試料を採取し観察することができることに特徴があり、採取した試料は土質試験に用いられる。
地盤調査の主目的は、地盤が構造物を安全に支持できるかどうか、また、安全に支持するための方法を技術的に調べることであるが、土質によってはN値だけで判断することは危険であり、ほかの指標も考慮する必要がある。
なお、一般戸建住宅の地盤調査では、スウェーデン式サウンディング試験の結果から導いた「換算N値」により、強度判断の指標としている。
「宅地防災マニュアル」(旧建設省建設経済局民間宅地指導室、昭和64年)では、軟弱地盤判定の目安を、地表面下10mまでの地盤に次のような土層の存在が認められる場合としている。
①有機質土・高有機質土(腐植土)であるとき、②粘性土で、標準貫入試験で得られるN値が2以下、あるいはスウェーデン式サウンディング試験において100g以下の荷重で自沈するもの(換算N値3以下)、③砂で、標準貫入試験で得られるN値が10以下、あるいはスウェーデン式サウンディング試験において半回転数(Nsw)が50以下のもの(換算N値5以下)。