不動産取引つまり土地や建物の売買契約や賃貸契約を交わす時の初期費用のひとつに、仲介手数料という名目のお金があります。これは、取引を仲介した不動産会社に対して支払われる手数料です。
自社物件には仲介手数料は不要
ここで、不動産会社はいろいろな物件を取り扱っていますが、会社としてその物件にどういう立場で関わるかについては3つのタイプに分類することができます。この、物件を取り扱う立場のことを取引態様と言い、貸主・代理・仲介があります。
・貸主
不動産会社自身が所有する物件を取引する立場にあります。一般的に自社物件と呼ばれる物件がこれに該当します。賃貸契約であれば、会社がオーナーとして借り手と直接契約を交わすスタイルです。
・代理
別に存在する物件の所有者の代理として買い手や借り手を探して売買契約や賃貸契約が正式に成立するのをサポートします。
・仲介
物件の所有者と物件を探している人との間の立場に立って物件を紹介し、売買契約や賃貸契約の成立を仲介しています。
土地や建物、賃貸住宅や部屋などの物件広告を閲覧すると、この取引態様についてどれに該当するのかが必ず記載されています。
それは、この取引態様が仲介手数料に密接に結びついているからです。
まず、取引態様が貸主の物件では、自分の持ち物を他人に直接貸したり売ったりするのですから、仲介手数料は発生しません。
残りのふたつの取引態様つまり代理と仲介では取引の仲立ちをした会社は仲介手数料を請求することができます。
手数料の上限は法律で決まっているけど、下限は決まっていない
この手数料については、土地や建物の取引を管轄する宅地建物取引業法という法律で明確に定められています。
宅地建物取引業法では、この手数料を成功報酬として規定しています。成功報酬というのは、該当の取引が正式に成立した時点で請求権が発生する手数料ということです。
よって、賃貸契約や売買契約についての全ての手続きが済み、契約書に署名と捺印をして正式に取り交わした時点で初期費用のひとつとして仲介手数料を支払うのが一般的です。
ですから、正式契約に至らないうちに手数料を請求することはできない仕組みになっています。
また宅地建物引業法では、この手数料の上限についても明記しています。賃貸契約では該当の物件の家賃の1か月分を上限に、また売買契約では売買する金額ごとに手数料の上限が設定されています。
例えば、取引する物件の価格が200万円までは5パーセント、400万円までは4パーセントプラス2万円、400万円を超える取引では3パーセントプラス6万円が手数料の限度として設定されています。
・「いったい不動産仲介業者には何に対するお金を支払っているのか?」詳しくはコチラ
ちなみに宅地建物取引業法では、手数料の上限を設定しているだけですから上限を超えていなければ問題はなく、安い手数料とすることは違法にはなりません。
この手数料を誰が支払うかについては、賃貸契約であれば借り手と物件の所有者で上限とされている家賃の1か月分を折半するケースと借り手が家賃1か月分の手数料を支払うケースがありますが、多くの場合では借り手が1か月の手数料を支払って正式契約成立とされています。
売買契約では、仲介の不動産会社が1社ではないケースもある
仲介した会社が例えば2社であれば、契約が正式に成立すればそれぞれの会社に手数料の請求権利が発生します。この場合は、売主が1社に、買主が別の1社に手数料を支払うのが一般的です。
手数料の金額は宅地建物取引業法で設定されている上限の金額で請求されることがほとんどですが、最近では仲介手数料をゼロ円あるいは法律で決められている上限の半額に設定している物件もたくさん登場しています。
こうした物件では、取引に関連する中間マージンをできる限り削減することで手数料に反映しているもので、手数料がなしあるいは少ないことは法的には全く問題はありません。
よって手数料の金額について値引き交渉をすることも可能です。
手付解約とローン特約とは?
またこの手数料は正式に契約が成立した時点で請求されるものですが、いったん契約が成立した後に解約としたケースでは手数料が必要になる場合とならない場合があります。
まず、買主による手付の放棄と売り主による手付の倍返しで解約可能となる手付解約では不動産会社には手数料の請求権があり、手数料を支払う必要があります。
一方、買い手がその物件の購入にあたって金融機関の融資制度を利用したケースでは、ローン契約の審査をクリアできなかったという事情で取引を白紙に戻すことができるというローン特約に基づいての解約となる場合があります。
このローン特約による解約のケースでは、手数料の支払いも白紙に戻されますから支払う必要はなくなります。
土地や建物の売買契約、賃貸契約の際の手数料については、上限と成功報酬であることが法律できちんと決められています。
ですから、正式に契約が成立する前から手数料を請求されたり、法律で決められている以上の金額を計算して提示される場合は注意が必要です。
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