不動産の売買、工事の請負、金銭の消費貸借の契約書、約束手形や為替手形、会社の定款などといった、法律に規定されるさまざまな文書を作成した際に、国に対して納付しなければならないのが、印紙税とよばれる税金です。
印紙税額は契約書の金額に比例
具体的には、課税対象となる文書そのものに、税額分にあたる収入印紙を貼付して、作成者やその代理人、使用人、従業員などが消印をするというかたちで納付されることになります。
このような印紙税の税額というのは、原則として契約書などの文書に書かれている金額に応じて増えるというしくみになっています。
したがって、特に不動産のように、もともとの売買金額が大きな場合には、それに比例して税額もかなりのボリュームとなることに注意しなければなりません。
租税特別措置法の存在
不動産の譲渡に関する契約書に限っては、租税特別措置法とよばれる法律によって、本来の税額よりも軽減されることになっており、場合によっては本則税率の半分程度で済んでしまうことがあります。
これは平成30年3月31日までの間に作成された文書に対して適用される時限的な措置であり、今後とも継続される保証はありませんので、不動産の売買を検討している場合には、いちおうは頭に入れておいたほうがよいといえます。
租税特別措置法第72条関係
土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を平成29年3月31日まで延長する。
租税特別措置法第72条の2、同法第73条、同法第75条関係
住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を平成29年3月31日まで延長する。
・具体的な軽減措置内容
具体的に、どのような軽減措置が図られているのかですが、たとえば、書面に記載された契約金額が5千万円を超え、1億円未満という場合であれば、本則税率をあてはめると6万円分の収入印紙が必要となりますが、軽減税率が適用された結果、半分の3万円で済むことになります。
・記載額が1億円超えの場合
記載された金額が1億円を超え、5億円以下であれば、本則税率が10万円のところ、軽減税率の適用で6万円となります。
これ以外の金額についても、段階に応じて軽減措置が図られており、法律上の区分としては最高の契約金額50万円を超える場合には、本則税率は60万円のところ、軽減税率の適用で48万円まで引き下げられています。
その他の軽減テクニック
こうしたものは法律にもとづく税率の軽減ですが、不動産の場合、そのほかにも、売買契約書を一通だけ作成し、他は同一文書のコピーで済ませるということによって、実質的な負担を軽減するといったテクニックも使うことができます。
特に、登記の手続きその他のために契約書の原本が後々も必要となるのは買主のほうですので、売主のほうの手持ちはコピーとしておけば、それは課税文書にはあたらず、収入印紙を貼付する必要もなくなるのです。