不動産の取引は高額で、多くの人にとって人生の中でも経験する機会が限られています。
また、取引価額本体が高額なだけに、仲介手数料や税金などの諸費用が数十万円から時には100万円を超えるため、物件の本体価額以外についても見積もりをしておくことが大切です。
また、購入するときは、諸費用と本体価額を同時に支払うため、売主または仲介の不動産会社が総額を提示してくれて、後日必要になるのは不動産取得税だけですが、売却するときは、仲介手数料などは代金決済と同時に行うものの、税金は翌年に確定申告して納付する必要があります。
・「忘れていない?不動産売却時に確定申告が必要なこと」詳しくはコチラ
不動産を売却すると、1月から12月までの1年間を課税単位として、翌年3月15日までに確定申告をして所得税を納付、6月以降に住所地の市区町村から住民税が課税されるので、売買代金の中から納税資金を確保しておかないと、税金が納められなくなってしまいます。
所有期間5年を超えると税額軽減!
土地や建物を売却するときの税金は、分離課税の譲渡所得という課税方式になり、所有期間が5年以下か、5年超かによって、長期譲渡所得、または短期譲渡所得となり、課税の税率が異なります。
譲渡所得の金額は、売買代金から取得原価と譲渡費用を差し引いて計算し、取引による収入自体は大きくても、購入価額がそれ以上に大きくて、赤字(譲渡損失)の場合は税金はかかりません。
固定資産税の清算金の存在
計算する際に注意する点として、固定資産税の清算金があります。
固定資産税は1月1日現在の所有者に課税されるので、譲渡日を基準にして、買主から売主に日割りで清算する慣行がありますが、納税義務者は売主で、買主は税を負担したことにはならないので、清算金は売買代金に含めて計算することになります。
基本建物は経過年数に応じて価値が下がっていく
取得価格の計算にあたっては、土地は期間の経過によって価値が減ることはありませんが、建物は経過年数分の減価償却費を差し引く必要があるため、利益の計算方法が異なります。
土地と建物を一括して取引しているときは、購入時の価格と、売却時の価格を区分して計算する必要があるので、契約書で確認をします。
なお、代々相続している物件など、取得価額が不明な場合は売却額の5%を概算取得費とすることができます。
納税のタイミングは取引の翌年ですが、手取りの収入金額に大きく影響するので、契約をする前に税額のシミュレーションをしておくと安心です。
また、譲渡損失が出た場合は申告不要で、分離課税は原則として他の所得と通算できませんが、自宅の譲渡損失は他の所得から差し引いて節税ができるなどの特例があるので、税の専門家の税理士や、住所地を管轄する税務署に相談すると効果的です。