リスクが低く、メリットの多い駐車場経営
遊休土地を有効活用する方法のひとつとして、駐車場経営があります。
賃貸マンションやアパートの物件数が飽和状態になってきている現在、高い建築費用をかけて新たにそれらを建てるのは大きなリスクがあります。
しかし、駐車場に転用するとなれば、初期費用は比較にならないほど安価ですませることができるうえ、管理の面でもほとんど手がかからず、そして安定した収益が得られます。
俗に「更地」とよばれる空地に、新たにマンションやアパートを建てるとなると、高額な建築費用がかかります。
階数や戸数など、その規模によって費用は変わりますが、安く見積もっても数千万円はかかるでしょう。
それだけの費用をかけても、その投資額を確実に回収して収益をあげられるとは限りません。
回収できるとしても10数年以上かかることもあります。
さらにその間には固定資産税をはじめとする税金の支払い、建物のメンテナンス費用などがかかり、自分で管理できない場合は管理委託費がかかることになります。
その点、空地を駐車場に転用した場合は、リスクは低いものになり、メリットは大きくなります。
駐車場経営のメリット
初期費用が少額ですみます。
駐車場に転用する土地の状態にもよりますが、生い茂っている草を除草するとか、地面をならすなどの整地が不要であれば、ロープを張って区分するだけで使えます。
かかる費用はロープ代と看板製作費くらいでしょう。
また、コインパーキングの専門業者に土地を貸す場合は、初期費用はまったくかかりません。
機械の設置や管理はすべて業者が行ない、その売上金の中から規定の割合の額が賃料として支払われます。
いつでも他の用途に転用できます。
事情があってその土地を他の用途に使うことになった際も、その転用は最高です。
コインパーキングの場合は、突然駐車場を閉鎖しても問題は起こりません。
月決め契約の場合も、数か月から半年ほど間に閉鎖の予告をして、契約を完了させることができます。
駐車場経営のデメリット
マンションやアパート経営に比べて収益性が低くなります
コインパーキング、月決め、それらの混合、いずれの形式であっても駐車場の利用料はおしなべて低い水準になります。
特に青空駐車場と称される屋根のない平面タイプは、その料金も低く抑えられがちです。
税制面での優遇がほとんどありません。
土地を保有しているだけで毎年個体資産税や都市計画税がかかります。
その土地を相続した場合は高額な相続税が課せられます。
土地にマンションやアパート等、賃貸用住宅を建てた場合は税制面での優遇がなされますが、駐車場として使う場合はそれがありません。
月決めとコインパーキングと、どちらがいいか
これは土地のある地域によります。
住宅街であれば、月決め契約に向いています。
自宅に駐車スペースがない家庭、1台分しかないために2台目の駐車スペースを探している家庭が顧客ターゲットとなります。
オフィス街や繁華街の場合は、その土地の周辺に別の駐車場がどれだけあるか、その形態は、の2点を確認して検討しましょう。
コインパーキングが何か所もある場合は月決め方式がいいかと思いがちです。
しかし、その周囲のコインパーキングがどこもほぼ常時満車状態となっている場合は、需要に供給が追いついていないと考えられるため、新たにコインパーキングを稼働させても十分に収益を上げられるでしょう。
月決め契約の駐車場とする場合は、法人契約での社用車の駐車場として、また、店舗の来客用駐車場としての需要が見込めます。
コインパーキングのリスク
コインパーキングとして稼働させる場合、最大のリスクは悪質利用者が出てくることです。
不当な駐車をされたうえ、機械を壊されるリスクがあります。
駐車場経営でいくら儲かるのか
10台の駐車スペースがあると仮定して考えてみます。
月決め駐車場の場合、月2万円×10台=20万円です。
コインパーキングであれば、1時間100円×24時間×30日×10台=72万円です。
ただ、月決め駐車場は管理の手間がかからず、売上のほぼすべてが純益となりますが、コインパーキングの場合は、メンテナンス費用、電気代、管理費等の出費があります。
また、24時間フル稼働となった場合は上記の金額になりますが、時間貸しの需要が少ない地域では、アイドルタイムが発生することは予想すべきで、入金額もそれだけ少なくなります。
駐車場経営の失敗事例
繁華街近くの古家を相続したのですが、建物を解体して更地にして、自己経営のコインパーキングを始めました。
当初は順調に収益を得られていたのですが、管理が甘かったからでしょう、不正利用者が目立つようになりました。
4WD車で車の下のロック板を破壊して出ていくケースが続出、さらには精算機を壊されて中の現金を盗まれる事件も起こりました。
自己経営は無理と判断して、一度閉鎖した後にコインパーキング専門業者に土地を貸す形で再開しました。
これなら最初から専門業者に任せた方がよかったなと思っています。
駐車場経営の成功事例
父親から30坪ほどの土地を相続しました。
もともと父親が家を建てるつもりで購入した土地です。
リストラに遭うなどで収入が減り、家を建てることができなくなり、売却しようとしても購入価格を下回る買値しかつかないため、売ることができないまま塩漬け状態になっていました。
相続税の支払いや、固定資産税の負担もありますし、売却して処分することも考えたのですが、父親が残してくれた土地であり、家を建てることがかなわなかった無念を晴らしてやろうと、自分で保有することにしました。
ただ、すぐに家を建てる余裕がないので、とりあえず月決めの駐車場として使うことにしました。
整地の必要はなかったので、ホームセンターでロープと金具を購入し、区分を作りました。
同じくホームセンターで買ったコンパネ板に駐車場の名前と連絡先とを書いて、看板がわりにしました。
利用者を募集するにあたっては他に何もしていません。
利用されるのは近所の方がほとんどでしょうし、通りかかる方の目にふれればそれでいいと思いました。
看板を出してから数日後、申込の電話がありました。
その周辺にはコインパーキングはいくつかあるのですが、月決めの駐車場は空きがなく、1ヵ月もかからないうちに10台分すべて契約が決まりました。
月額2万円で10台分の月20万円が毎月手元に入ってきます。
駐車場の管理やメンテナンスはほとんど必要ないので、まさに不労所得ですね。
この土地はこのまま駐車場として使い、家はまた別のところに建てるか買うかしようと思います。