不動産投資や活用に関して、ライフプランを見据えての相談ができる相手に社労士があります。
正式には社会保険労務士と呼びますが、年金代わりに不動産活用を考える際にはアドバイスを受けることができます。
その社労士ですが、どのような仕事内容なのでしょうか。
その魅力と共にお伝えしたいと思います。
社労士は労働環境を円滑にするスペシャリスト
年金の相談もできることからライフプランの仕事かと思いきや、実は労働環境における法律に長けた資格なのが労務士です。
労務や社会保険関連の書類作成を行ったり、その提出手続きを代理・代行で行います。
またコンサルタントとして雇用や人事、年金や社員の能力開発といったことまで相談に応じたり指導を行います。
働き方としては企業に勤務する場合と、独立して開業する場合とがあります。
年収は勤務による場合で平均500万円強、開業する場合は450万円から3,000万円ほどにもなると言われます。
開業の場合にこれほどの開きがあるのは、コンサル料金に規定がないことと顧問報酬の額に差があることが挙げられます。
つまり需要次第で報酬額は違うということです。
仕事内容は?
社労士の具体的な仕事内容を挙げてみます。
大まかに分けて3つありますが、まず書類作成があります。
就業規則や退職金規定、給与規定などがその内容ですが、さらに作成した書類を行政機関などへ提出する業務もあります。
手続きを代理・代行で行いますが、労働基準法や労災保険法、雇用保険法や国民年金法などに基づく行政機関への申請や届出を行います。
さらに休業補償や給付金・助成金の各種請求を行ったり労働保険・社会保険への加入や脱退なども行います。
これらは労務士でなければ行うことができない独占業務となっています。
資格を取得する方法
社労士の資格を取得するためには、年に1回の試験を受けて合格する必要があります。
試験日は8月の最終日曜日となります。
受験料は9,000円、試験形式は40問の選択式と70問の択一式となっています。
受験資格は次の3つのうち、ひとつでも該当していれば与えられます。
- 短大卒と同等以上の学歴があること
- 学歴による受験資格がなくても、一定の実務経験があること
- 行政書士資格を有していること
試験内容は全部で次の8科目から構成されます。
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
合格率は平成26年まではおよそ8%前後、平成27年は2.6%で平成28年は4.4%となっています。
試験に合格するために必要な勉強時間の目安はおよそ1,000時間となります。
勉強の方法としては独学とスクール通学、通信教育がありますが、独学での合格は難しいようです。
方法としては、テキストと択一過去問題集を購入して行うものとなります。
スクールに通う場合には受講料はおよそ20万円ほどとなります。
夜間に通うコースと土日のコースがありますが、時間は週に2回で19:00から21:00、土日は週1回で10:00から17:00というケースが多いようです。
通信教育の場合には、費用はおよそ3万円ほどとなるようです。
教材はテキスト・問題集・入門講座・法改正の情報・講義のCDやDVDという内容になります。
社労士の活躍場面
社労士は社会保険労務士試験に合格して、社会保険労務士名簿に登録することで活動できるようになります。
活躍する場としては、まず社会保険労務士事務所や法律事務所などに勤務するケースがあります。
そこで受ける相談内容として、賃金体系や労災、年金に関することなど様々なものがあります。
あるいは企業の総務部や人事部で採用されるケースもあります。
社員の給料や健康保険料の計算、福利厚生に関する仕組み作りといったことに関わることになります。
そしてもうひとつ、コンサルタントとして独立開業するケースもあります。
開業社労士と呼ばれますが、個人で事務所を開いて人事や労務管理の専門家として働くものです。
企業との間で顧問契約を結び、社員の社会保険の手続きや給与の計算、あるいは助成金などの申請を行うことになります。
他にも会社を設立する際の手続きをしたり就業規則を見直したり、労務のコンプライアンスを改善するといった業務に携わります。
さらに顧問契約を結ぶことなく個人の顧客から年金などの運用に関する相談を受けるケースもあります。
企業からの依頼で社員向けに保険や年金の説明をしたり、セミナーや講演会の講師として依頼されることもあります。
社労士の魅力について
社労士は資格保有者の年収ランキングで上位に位置する需要の多い資格です。
産業と就業の構造には大きな変化が見られていますし、労働環境も多様化により混沌とする中で社労士の需要は高まっています。
さらに労働者の高齢化が進み、その職場環境を働きやすいものとすることが求められています。
また的確な人材活用を支援できることも期待されます。
給付金が減少しつつある年金に関する相談や労働紛争の解決といった面でもニーズは高まっています。
社労士は半年から2年程度の勉強で合格できるとあって、合格までの目安がつけやすいことが特徴とされます。
1回目の受験で合格する人も多くいます。
企業での評価も高く、行政機関に提出する書類の作成と提出手続きの代行は独占業務であることも人気の理由です。
扱う法規はおよそ50種類と業務範囲が非常に広く、工夫によっては様々な活躍の場面を作ることができるのも魅力とされます。
特に少子高齢化を背景とした年金制度に対しての不安も高まりつつあり、企業はもちろん個人からの需要も増えていることも将来性につながっています。
社労士に向いている人とは?
社労士の仕事は基本的に、人に関わる管理という責務を負うことになります。
そのために高い倫理観を持っていることが求められます。
会社側と労働者側の狭間に立たされることもあるので、常にニュートラルな立場に立って問題の解決に取り組むことが必要です。
顧客である企業から顧問費用をもらいながらも、不正行為などがあれば見落とさないというスタンスを貫くメンタルの強さも必要になります。
さらに高い事務処理能力と人の悩みやその背景をヒアリングするコミュニケーション能力も必要です。
終わりに
このように社労士の仕事は今後もさらにニーズを増すと見られています。
人の管理における法改正は頻繁に行われているために、常に勉強が必要な資格でもあります。
その上で、人の役に立ちたいという強い意思を持つ人に適する資格であるとも言えます。